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新アルバム【○ en】リリースに寄せて

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新アルバム【○ en】リリースに寄せて

新アルバム【○ en】が、遂にリリースされました。

 

この作品は、これまで出逢った素晴らしいアーティストの方々との“縁”で成り立っています。 協力してくださったアーティストの皆様に、改めて感謝を込めて、紹介させていただきます。

 

先ずは盟友であり、僕の中では“音楽仙人”であるサウンドプロデューサーのKOHKI。

 

彼とは第一作目の『ふうちそう』以来の付き合いで、当時から僕の旋律と言葉から世界観を汲み取り、驚異的な音楽センスで拡張・再現してくれていましたが、前作から歳月を経てKOHKIさん自身も更に進化し、コンセプトアルバムとしてはコアファンの間で傑作と言われ続けた『かなでの旅路』を超える作品に仕上げてくれたように思います。

僕の細かな要望にもサラリと応えてくれる柔軟さも本当に有難く、佐藤和哉ワールドになくてはならない存在です。

 

次に、音楽家として敬愛するピアニスト、妹尾武の兄貴!

 

雨を愛おしく想う心から生まれた『常磐色の雨』のアレンジをイメージするにあたり、妹尾さんのピアノ以外には考えられず、思い切ってアレンジをお願いしたところ、優しく滴る雫のような繊細なタッチのピアノに始まり、随所に散りばめられる妹尾節の効いた絶妙な和音から、壮大に広がる音の展開で、想像以上に素晴らしい雨の美景を表現してくださいました。おかげさまで、雨が愛おしく思えるばかりでなく、騒ついた心がスッと鎮まる不思議な光が、この曲には宿ったように思います。 やっぱり、妹尾さんって凄いです。

アコーディオニスト・田ノ岡三郎さん。

視界が空高く舞い上がるような曲『KITE』の作曲者。 この曲の誕生は、忘れもしない2018年の唐津公演。本番前日に、唐津を観光案内した時、一緒に登った唐津城の天守閣からの唐津湾の絶景の中、目の前を滑空するトンビの姿と、篠笛の音を融合したイメージで、その日の夜に作曲。翌日の本番でサプライズ演奏してくださったことは、大切な想い出です。 以来、田ノ岡さんとの舞台では必ず演奏させていただいてきたこの曲を、KOHKIさんと一緒にその世界観を忠実に再現し、収録させていただきました。 本作で唯一、僕が創ったものでないにもかかわらず自然に馴染み、大空からの視点で世界を見た時の、心の広がりと安らぎを感じさせてくれる作品のように思います。

現代アーティスト、武田真彦さん。

〈佐藤和哉と現代アートとのコラボレーション〉という企画を通して京都で出会った電子音楽クリエイター。武田氏の、電子音楽と“偶然生”を操る世界観が、僕が長年構想していた《ホタルの音表現》に結びつき生まれたのが『蛍火』。僕の主旋律を軸に、サンプリングした篠笛の音をランダムかつ絶妙な具合に据え置き、現代アートならでわの斬新かつ真実味に迫る作品に仕上げてくれました。僕の音楽に、全く新しい世界への扉を開いてくれた人です。

本作の軸となる『瑠璃色ノ光』誕生の機会をくださった、薬師寺の皆様。

人としての心の在り方、玄奘三蔵の歩んだ道と不屈の精神、薬師如来の慈悲の光など、薬師寺にて学ばせていただいたことは、コロナ禍のみならず、この十年の間で、不安に陥り、道を見失いそうな時に、進むべき道を見定め、人々に届けたい音を見出す重要な道導となりました。 『瑠璃色ノ光』は、その末に生まれた“光”であり、このアルバムの根幹となる曲です。

そんな光を、目に見える形に降ろしてくださった、唐紙師・トトアキヒコ氏。

トトさんの《青》を初めて見た時、その色と世界観に、まるで自然の絶景を目の当たりにしたような感動を覚えました。唐紙をアートに昇華し、平和への祈りを込めて創られるトトさんの作品には、心を照らす平和の光が宿っているように感じます。以来、交流を重ね、時には和歌を贈りあったりして、お互いに作品に込める想いに通じるものを感じ、この『瑠璃色ノ光』を表現していただきたい!と思うに至り、思い切ってお願いしたところ、この【ミズハ(瑠璃色よりいずる)】という作品を生み出してくださいました。 トトさんのおかげで、このアルバムのジャケットそのものが瑠璃色の光を放ち、芸術作品となりました。

フォトグラファー、石川信介。

20年来の親友で、被写体の内面まで写し撮るような力強い写真は、彼自身の燃えるような情熱溢れる魂と生き様の賜物です。 『瑠璃色ノ光』のミュージックビデオの撮影では、天からの祝福と思えるような天候と、お互いの苦楽を共にしてきたからこそ通じ合えるシンパシーによって映しとられた光景が焼き付けられ、業界第一線で磨き上げられた感性で素晴らしい作品に仕上がっています。アルバムの見開きに使用している写真は、彼がミュージックビデオ撮影時にケータイで何気なく撮ったものですが、夜明け前の空と海が放つ瑠璃色ノ光が切り取られており、本作において重要な一枚になっています。

音楽、絵画、彫刻、哲学、呼吸など、様々な分野に才能を発揮する親友、ダニーロ・ツヨシ。

そんな彼に今回お願いしたのは、アルバムジャケット撮影からブックレットや帯の文字の配置といった“デザイン”。PCを使ったデジタルな作業ですが、そこに彼特有の卓越した“感性”が加わることで、上記のアーティストの作品の素材が見事にまとめあげられ、このアルバムが成立しています。 入稿ギリギリまで懸命に細かく調整してくれた姿勢にも、彼の愛情深く真っ直ぐな人間性が溢れていました。

他にも、 エンジニアやサポートしてくれたスタッフの方々。

応援してくれているファンの皆様。

そして、 一番近くで支えてくれた家族。

皆様との“縁”が、【○】となりました。

心から感謝を込めて。ありがとうございました。

もしこの作品に光を感じでくださったならば、どうか貴方の大切な人にも、この音を伝えてください。

そうしてこの【○】が、人々の心を潤す波紋となって広がり、世界の平和への一助となることを祈っています。

篠笛奏者 佐藤和哉

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